由一の真実 【最終回】
「あぁぁ・・・堂本さんが・・・・・」
「それができなきゃ、途中でやめるぞ。いいのか?」
堂本は冷たい口調でそう言って、乳首と分身のピアスを引っ張るのをやめてしまう。
とたんに由一は『いやいやっ』と言いながら、腰を引き上げた。
「私のお◯んちんを好きなようにしてください。舐めて・・・しゃぶって・・・噛んでください。ああっ・・・ピアスを引っ張ってください」
由一は、涙をポロポロと零しながら、切なげな表情で訴える。
すると堂本は、分身のピアスを握り締めると、強引に扱きながら由一の唇にキスをした。
ピアスを皮で被せるようにして上下に扱かれると、由一は堪らなく感じてしまうのだ。
ピアスの硬い感触が時々当たって、クラッとするぐらいの快感を由一に与えてくれる。
「あぁぁ・・・あっ・・・あっ・・・いいっ」
「どんなふうにいいんだ?」
「ピアスが当たって・・・ああっゴリゴリしてて・・・気持ちいい・・・」
と、呻くように叫んだとたん、由一はピクンッと内股を震わせる。
これは、もうすぐイッてしまうという由一の合図だった。
堂本はその合図を無視して、由一の下着を足首まで下ろし、両足を広げた。
そしてそのまま一気に、由一の蕾に向かって堂本自身を突き立てる。
「あぁぁぁーーーーっ」
由一は、ここが車の後部座席であることなどを忘れて、喘ぎまくった。
白い足が、車の天井に向かって伸びている。
その間で、分身だけを露出した堂本が激しく身体を上下させている。
「あっ・・・あっ・・・ああーーーーーっ」
由一は、無我夢中で堂本の高価な上着にしがみつき、快感を貪っていく。
「堂本さんっ・・・ああっ・・・もう・・・・・」
そして堂本が由一の乳首をピアスごと口中に含んだとたん、由一は頂点を極めていく。
「あぁぁぁぁーーーーーっ」
白い飛沫が勢いよくピュッと飛んで、黒い革のシートをちょっとだけ汚してしまう。
堂本は、イク時の由一の顔を見つめながら、激しい飛沫を由一の中に放出していた。
ドクンドクンッと、堂本の熱さが伝わってくる。
由一は、この瞬間が好きだった。
堂本の愛情を一身に受けるこの瞬間が堪らなく好きだった。
そして抱かれれば抱かれるほど、どんどん堂本の魅力に捕らわれていくこの身が、好きだった。
「・・・・・愛してる」
堂本はイッた瞬間、由一の耳元で小さな声で囁いた。
それは、どんなに哀願しても普段はあまり口にしてくれない、言葉だった。
由一は、心の中に染み込んでくるその言葉を真底嬉しく思いながら、これからの一生を堂本に捧げる覚悟を決めていた。
この先、どんなにつらいことがあっても堂本についていく。
私は、どんな時でも堂本の情夫であり続けたい。
そしてそんな自分を、いつでも誇らしく思っていたい。
それは、いつの間にか由一の最大の願いとなっていた。
「そろそろ、到着しますが・・・」
助手席のヤクザが、下を向いたまま言う。
だがその声は、喘ぎ続けている由一には、聞こえなかった。
「分かった」
堂本は冷静な声でそう答えると、ぐったりとしている由一の身体から離れていった。
由一が、一瞬とても切なそうな顔をする。
もっとこうして抱かれていたい・・・そう思ったのに。
「堂本さん・・・」
最後に囁いてくれた、堂本の言葉をもう一度聞きたい。
そう思った由一だったが、黙ったまま身支度を整えていく堂本を見つめるしかなかった。
堂本はこれから、木城組就任の挨拶のために都内のホテルに向かっていた。
今日は、堂本には特別な日だったのだ。
もちろん、総本家の藤堂四代目も出席する。
だとすれば、真琴様もきっと来るに違いない。
そう思った由一は、ホテルまで同伴したいと我が儘を言ったのだが、その途中、白樺に寄ってどうしても佐川にあの時のメモを返しておきたかったのだ。
以前までの自分に別れを告げるために。
そして、これからの自分に向き合うために。
「どうする?一緒に降りるか?」
ホテルのロビーの前で停車したベンツの中で、堂本は聞いた。
エルメスのネクタイをきちんと締めている堂本は、少しの乱れも残していなかった。
由一は、まだ支度に手間取っている。
「いいえ。地下の駐車場まで行きます。まだ・・・全然支度が間に合わないし・・・」
由一は、一生懸命にYシャツのボタンを嵌めているが、まだ絶頂の余韻のためか、指がもったりとしている。
それを見た堂本は、何も言わずに先にベンツから降りた。
堂本が降りると、左右に分かれて待っていたヤクザたちが一斉に頭を下げる。
堂本はその間を、ゆっくりとした足取りで進んでいった。
そんな勇ましい後ろ姿に、由一は思わずじっと見入ってしまう。
ホテルの地下に進んでいくベンツの後部座席で、由一はずっと堂本を見つめていた。
「愛しています、堂本さん」
由一は、そっと呟いてみる。
すると不思議なことに、心の中がジーンと熱くなってきた。
ああ、これが愛なんだ
由一は、実感する。
そして、フラワーショップ白樺で働いていたからこそ堂本と知り合えたのだと思うと、運命の絆を感じずにはいられなかった。
人の運命は、まったく分からない。
明日のことだって、分からない。
ううん、だからこそ一生懸命生きているんだ。
由一は心の中でそう悟ると、地下の駐車場に降り立った。
「由一様ですね?」
そこには、由一の到着を待っていたスーツ姿のヤクザたちが数人、立っていた。
「はい」
「こちらからどうぞ」
堂本の情夫としての特別な人生を歩き出した由一は、今胸を張って、大きな一歩を踏み出していった。