東京えっちナイト 4
- 2016年07月04日
- 小説, 東京スペシャルナイト
ラベンダーが最後のお客様を送り出すと、外はもう真っ暗だった。
「ありがとうございました」
二人で丁寧にお辞儀をする。
OLの客は、そんな二人に満足したような笑みを浮かべて帰っていった。
「つ、疲れたぁぁーーーーーっ」
宇宙は店の中に入るなり、ドタッとベッドに横になった。
今日はオープンから手の休まるときがないくらい忙しく、大盛況だった。
初めてということもあって、宇宙はもう、手脚を動かすこともできないくらい疲れ切っていた。
「・・・マッサージ、されたい」
宇宙がボソッとそんなことを呟く。
身体があっちこっちで悲鳴を上げていて、正直そんな気分だった。
するとその一言を耳にした遼一は、うつ伏せで寝ている宇宙の肩にそっと触れた。
「特別にマッサージしてあげるよ。今日は初日で疲れただろうから」
「ほんとに?やったぁーーーーーっ」
素直に喜んで、宇宙が手脚をベッドの上で伸ばす。
そして顔をベッドに開いている穴に当てた。
「よろしくお願いしますっ」
急に元気になった宇宙が言う。
すると遼一はクスクスと笑いながら、宇宙の凝っている肩や背中に触れていった。
「き、気持ちいい・・・。あぁ・・・そこそこ・・・いいぃぃ・・・・・」
「ここ?」
「うん、そこっ。あっ・・・いいっ・・・・・」
遼一がツボを押してくれるので、色っぽい声が自然と出てしまう。
肩から背中、腰まで丹念にマッサージしながら、遼一は嬉しそうにその声を聞いていた。
宇宙の身体にマッサージをしてあげるのは久しぶりだった。
マッサージの仕方を教えている間は、他人の身体で実習し覚えていく。
だから宇宙の身体に触れたり、反対に遼一の身体に触れたりする機会は、夜の甘い時を除けばあまりなかった。
昨夜は、狭いアパートでたっぷりと愛し合った。
だけど、こうしていると、まだ愛し足りないような気がしてくるから不思議である。
「遼ちゃん・・・そこ・・・だめ・・・」
宇宙が、腰のツボを押されると、とたんによがってしまう。
遼一はわざと宇宙の弱いツボを押しながら、宇宙が発する甘い声を楽しんでいた。
セックスしているときとはまた一味違う甘い声。
遼一は耳を擽るような宇宙の喘ぎ声がたまらなく好きだった。
「宇宙。久しぶりにウルトラスペシャルマッサージ、してあげようか?」
不意に、遼一は言った。
その言葉を聞いた宇宙が驚いたように「えっ?」と言って振り返る。
「でも、それはもう誰にもしないって・・・」
「宇宙は別だよ」
「でも、嫌なこと思い出しちゃうんじゃないの?」
宇宙は、亨の囲われ者として過ごしてきた屈辱の十年間を思い出してしまうのではないかと。
そのことが心配だった。
だからもうウルトラスペシャルマッサージも、スペシャルマッサージも二度としないって誓ったはずなのに。
「宇宙のためにしてあげたいんだ」
遼一が、両目を細めて言う。
宇宙はその瞳を見つめて、小さく頷いた。
「・・・遼一がしたいなら・・・」
「ああ、したい。宇宙をウルトラスペシャルマッサージで愛してあげたい」
遼一の言葉には、迷いなどいっさいなかった。
心の底から宇宙を愛したい、そう思ってくれているのが伝わってくる。
宇宙は仰向けにベッドに寝ると、シルクのシャツと黒いスラックスを脱ぎ出した。
そして下着までもすべて脱ぎ捨てると、裸の状態で遼一が来るのを待っていた。
その間に遼一は店の戸締りをして、ブラインドを閉めていた。
遼一が再び宇宙の前に現れると、その手にはベビーオイルが握られていた。
ベビーオイルを見ただけで、宇宙の心臓がドキンッと大きく高鳴ってしまう。
半年前のあのとき、ラブホテルで、たった一度だけしてもらったことがあるウルトラスペシャルマッサージ。
セックスとはまったく異なる快感を与えてくれるウルトラスペシャルマッサージを、実は宇宙は大好きだった。
ずっとしてほしいと、密かに思っていたのも事実なのだ。
「用意はいい?」
遼一が、男前の顔で優しく聞く。
仰向けで寝ている宇宙は、頬をほんのりと朱色に染めながら「うん」と可愛らしく頷いた。
遼一がベッドの横に腰を下ろし、ベビーオイルをたっぷりと手にとる。
そしてとろりと垂れるベビーオイルを、直接宇宙の分身の根元に垂らした。
「あっ・・・」
たったそれだけのことなのに、とたんに喘ぎ声が上がる。
宇宙の分身は、ウルトラスペシャルマッサージを期待してか、もうすっかり勃起していた。
ピクンピクンッと、遼一の前で動いている。
「もう、感じてるの?」
「だって・・・久しぶりだから・・・」
宇宙は顔を真っ赤にして、潤んだ瞳で見つめる。
遼一は、オイルがたっぷりと付着した手で、そんな分身をやんわりと包み込んだ。
「あんっ」
また、宇宙の口が上下に開く。
ベビーオイルの感触は、ヌルヌルしていてとても甘美な感じがした。
口で愛撫されているときと、少し違う。
もっと刺激的で、もっと熱くて、もっと官能的で。
でも、遼一の口で愛撫されるのも大好きな宇宙。
「あっ・・・遼ちゃん・・・」