東京スペシャルナイト 上 14

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ヌチャヌチャッと音がして、腰から脳天に快感が走り抜ける。

 

宇宙にとって、こんな感覚は初めてのものだった。

 

ついさっき、乳首の快感に目覚めたばかりなのに、もっと強烈で生々しいこんな快感があったなんて。

 

自分の手でするときの快感なんて、まるで子供のお遊びのように感じた。

 

弄られている分身が、与えられる快感を喜んで受け入れている。

 

まるでずっと、こうされることを待ち望んでいたかのように。

 

「あっ・・・うそ・・・だめ・・・そんな・・・」

 

気持ちよくて、雲の上にいるような気分を味わいながらも、恥ずかしくてしょうがない。

 

ずっと会いたいと思っていた桜井さんから、まさかこんなマッサージをされるなんて夢にも思っていなかった宇宙である。

 

もう、心も身体もメロメロだった。

 

本当に、頭の中がどうにかなってしまいそうだった。

 

「だめぇ・・・あっ・・・あぁぁ・・・・・」

 

上ずった甘い声が、どうしても宇宙の唇から出てしまう。

 

無理に唇を噛みしめても、桜井がオイルをたっぷりと垂らした分身の先端を上下に弄くると、どうしても喘ぎ声が漏れてしまった。

 

自分の声だとはとても信じられない、甘くて色っぽくて男を誘うような声を聞きながら、宇宙は思った。

 

これは自分の声じゃない。

 

今の自分は本当の自分じゃない。

 

自分は今、夢を見ているんだ。

 

こんな破廉恥でいやらしい声で喘いでいるのは、自分じゃない。

 

宇宙は必死にそう思おうとした。

 

だけど、どんなにそう思い込もうとしても、甘い喘ぎ声は自分の声だった。

 

「そんなに恥ずかしがらなくてもいいですよ。もうここには・・・私とあなたしかいないんですから。心と身体を解き放して・・・快感に身を委ねるのです」

 

「あっ・・・でも・・・そんな・・・」

 

桜井の色香が漂う言葉に心をときめかせながら、宇宙は首を横に振った。

 

だめ、だめっ。

 

心も身体も蕩けてしまうくらい気持ちいいけど、この快楽に身を委ねてしまってはいけない。

 

信じられないくらい破廉恥でいやらしい自分を、桜井さんにさらけ出してしまうかもしれない。

 

これ以上、淫靡な自分を見られてしまったら、きっと桜井さんは呆れてしまう。

 

呆れて、きっと嫌われてしまう。

 

そんなことになったら、もうここには来れなくなってしまう。

 

そんなのは、絶対に嫌だ。

 

絶対に、だめ。

 

宇宙は、すぐにでも気が遠くなるような快楽に身を委ねてしまいそうなのを必死に堪えていた。

 

だがそんな宇宙をあざ笑うかのように、すべてを知り尽くしている桜井の巧みな愛撫が続き、宇宙の理性を食い尽くしていく。

 

「あっ・・・あんっ・・・」

 

根元から絞り上げるように、分身に絡み付いた桜井の指が上下に揺れる。

 

しかも空いているほうの手で、双玉を強弱をつけて弄っているのだ。

 

宇宙は、もうイッてしまいそうなぐらい感じていた。

 

「あぁぁぁ・・・・・だめぇ・・・・・」

 

「そうやっていつまでも抵抗していると、つらいだけですよ。ほら・・・」

 

と、少し笑いながら言って、桜井は亀頭の部分を集中して責めた。

 

先端の割れ目に、指先の爪をクイッと入れたのだ。

 

「あっ!」

 

それは、ずっと堪えていたものが放出された瞬間だった。

 

「あぁぁぁーーーーーー・・・っ」

 

白い液体が、爪を挿入した割れ目から溢れ出る。

 

「あぁぁ・・・あぁぁ・・・・・・」

 

宇宙はイッてしまった瞬間、頭の中が真っ白になってしまったのを感じていた。

 

そして十分に絶頂感を味わった後、自分が発した娼婦のような声を聞き、はっとして我に返る。

 

頭を持ち上げて見ると、自分の腹の上にはオイルと混じって白い液体が無数に飛び散っていた。

 

「うそ・・・・・」

 

自分の目で見ても、信じられなかった。

 

それは、桜井の手の愛撫によって絶頂感を極めた証だった。

 

「もう少し素直にしていたら、もっとすごい絶頂感を味わえたのに・・・。今度は抵抗しちゃだめですよ」

 

桜井が、クスッと笑いながら白い液体をオイルに混ぜていく。

 

宇宙は絶頂感を極めたというのに、桜井の手はまだ動いたままだった。

 

絶頂の余韻がまだ残っている宇宙は、可愛く喘ぎながら手の行く先を肌で感じていた。

 

「あっ・・・桜井さん・・・」

 

宇宙が、今にも泣きそうな顔で桜井を呼ぶ。

 

桜井は、体液とオイルが混じったヌルヌルの手で、もう一度ピクピクしている分身を包み込んだ。

 

「あんっ」

 

驚いたことに、分身は元気なままだった。

 

たった今イッたばかりだというのに、ピクピク震えてはいるものの、まだ元気いっぱいなのだ。

 

「うそー?」

 

宇宙は思わず呻いた。

 

だが桜井は、それが当然とでも言いたげな顔をして、再び両手を上下に揺らしていく。

 

「・・・今度は素直に・・・私が満足する声を上げて・・・色っぽい顔を見せて・・・イッてくださいね」

 

「さ、桜井さん・・・あっ・・・だめ・・・そんなことしたら・・・」

 

「そんなにしたら、なんです?」

 

桜井の手が大きく上下に揺れていく。

 

宇宙は、反射的に大きく息を吸い込んだ。

 

そしてそのまま、さっきよりもずっと大きな喘ぎ声を上げてベッドの上でのけぞる。

 

もう、抗うことなどできなかった。

 

恥ずかしさなんて、もうなかった。

 

宇宙の中の何かが、生まれ変わった瞬間だった。

 

今までの宇宙が、桜井によって変えられた瞬間だった。

 

「あぁぁぁぁーーーーーーーっ!」

 

宇宙の泣きじゃくるような喘ぎ声は、しばらくの間、狭い部屋の中で響いていた。