東京ハードナイト 19
いつものように冷酷な黒い瞳で、じっと由一の苦痛に歪んでいる顔を見つめていた。
「俺を裏切った罰だ。たっぷりと味わえ・・・」
「あっ・・・いやぁ・・・・・ひぃ・・・・・」
「それと、これは勝手な真似をした罰だ・・・」
と、堂本は不意に由一の乳首に噛みつく。
「あっ・・・いやぁぁ・・・・・」
堂本は、手の中に分身を握り締めたまま由一の乳首を口を含み、思いきり噛みついていた。
「き・・・ひぃぃぃ・・・・・」
容赦のない堂本の行動に、由一が思わず泣き叫ぶ。
だがこの特別室の防音効果はバツグンで、中でどんなに騒ごうとも外や廊下にはまったく声は漏れなかった。
それは、藤堂と真琴のセックスでも証明済みである。
「堂本さん・・・堂本さん・・・痛いぃぃ・・・・・」
と、由一は堂本が乳首から離れるように身体を揺らして抵抗する。
だが揺らせば揺らすほど堂本はもっと強く噛みついてきて、今にも乳首が千切れてしまいそうなくらい引っ張るのだ。
「ひぃぃぃ・・・・・許してぇ・・・・・」
ついには、こらえ切れなくなった由一が、泣きながら哀願する。
だがそれでも堂本は、乳首に思いきり歯を立てるのをやめようとはしなかった。
「許して・・・ぇっ・・・もう・・・しませんから・・・。もう逃げたりしませんから・・・ふぇっ・・・・・」
ポロポロと涙を流して、由一が泣きじゃくる。
堂本は、そんな可愛くて素直な由一をしばらく楽しんでいたが、やっと乳首から離れた。
堂本が離れた乳首には、しっかりと歯型が残っていた。
このまま、もう少し力を入れていたら本当に噛み千切られていたかもしれない。
「少しは・・・分かったか?俺に逆らったらどうなるか・・・」
「は・・・はい・・・。ごめんなさいっ・・・もう逃げたりしませんから・・・うえぇぇ・・・」
由一はなんとか堂本の機嫌を直そうと、必死だった。
両手は塞がれているし真っ裸だし、逃げようにも逃げられない。
だったら素直になって、堂本の言うことをなんでも聞くしかないのだ。
由一はそう思いながら、涙で濡れている茶色い瞳で堂本を見上げた。
そんな可愛い由一を見て、堂本の顔が一瞬緩む。
「逃げ出したりしなければ、こんなにつらい思いはしなくて済んだんだ」
「・・・はい、その通りです」
まだ痛みを訴えている乳首と堂本を交互に見て、由一が泣きながら頷く。
すると堂本は、やっと気持ちが晴れたのか、由一の分身を握っていた手を緩めてやった。
だがまだ、完全には開放してやっていない。
「・・・・・だがよかったな、由一?どういう運命かは知らないが、逃げてすぐここに来たのが分かったからあの大学生たちを五体満足で開放してやったが、そうでなければ今頃は、全員あの世行きだ」
「大学生って・・・まさか・・・あの時の大学生たちのこと?」
由一は、苦痛から解放されホッとする間もなく堂本を見つめた。
堂本はふふっと笑って、由一の分身の先端を指の腹で弄っていく。
由一の先端の割れ目からは、もう先走りが出ていた。
「お前を逃した大学生たちはすぐに見つけた。殴り殺してやってもよかったんだが、由一をおびき寄せる餌にしようと思っていた。そこへ藤堂四代目からの電話だ。仕方なく大学生たちは解放したが、まぁ、お前の居場所が分かったのは幸いだったな」
堂本は、そう言いながら由一の分身をクチュクチュと弄っては手を上下に揺らしていく。
さっきまでの苦痛とは違い、今度は明らかに快感が由一の分身を支配していた。
「・・・じゃあ・・・大学生たちは無事なんですね?」
と、必死に快感をこらえながら由一が聞くと、堂本は根元についている二つの玉も一緒に揉み扱くようにして手を動かしながら答えた。
「・・・ああ、解放してやったよ。お前が見つかったんだ、もう用はない」
「・・・よかった」
由一は、自分を助けてくれたために、大学生たちに何か危害が及んだらどうしようとずっと考えていたので、今の堂本の言葉はとても嬉しかった。
だが反対に考えれば、偶然にも真琴と出会わなければ、大学生たちは五体満足ではなかったということになる。
由一はそう考えて、自分の運の強さに感謝せずにはいられなかった。
「・・・・・真琴とか言ったな?あの青い瞳の別嬪さんは・・・。藤堂四代目の情夫というだけあって、大した度胸だ。藤堂四代目を抜きにして、俺と正面から堂々と渡り合うつもりらしい」
堂本は、由一の分身を上下に揺らし、もっと先走りを出させながら言葉を続けていく。
「・・・お前も運のいいヤツだな。真琴に取り入ろうとしている連中はたくさんいる。その中でもお前は特別に可愛がられているようだ」
「あっ・・・堂本さん・・・だめ・・・あぁぁっ・・・」
由一は、話に耳を傾けながらいつの間にか喘ぎ始めていた。
堂本の上下に揺れる手の動きが、あまりにもリアルでうまいということもあったが、ここで愛し合っていた藤堂と真琴の淫靡な姿を思い出したのだ。
全身の性感帯についているピアスと、蕾の中から取り出していった真珠。
そして、藤堂の大蛇を嬉しそうにのみ込んで行く真琴の姿の妖艶さを、由一は忘れることができなかった。
あんなふうに、自分も愛されてみたい。
いつしかそんな飢えと欲望が、由一を取り巻くようになっていた。
「あっ・・・ああっ・・・堂本さんっ」
だからなのか、堂本が少し愛でただけで、由一は敏感に快感を受け止めていた。
「あっ・・・あっ・・・だめぇ・・・・・」
さっきまで千切れるくらい噛まれていた乳首も、ツンッと突き出て硬くなっている。
朱色に変色していて、まるでもう一度噛んでほしいと訴えているかのように、存在を示している。
堂本は、手の中で由一自身を弄びながら今度はさっきと違う方の乳首を吸ってみた。
「あんっ」
甘ったるくて媚を売るような喘ぎ声が、由一の唇を割る。
堂本は、さっきと同じくらい強く噛んでみた。
「あーーーーーんっ」
だが驚いたことに痛みを訴えるのではなく、由一は快感を表していた。
乳首を思いきり噛まれて、感じているのだ。
しかも、分身がビンビンになってしまうくらい、強烈に。
「あーーーーーだめですぅーーー。そんなにしたらーーーーー」
「そんなにしたら、なんだ?」
「あぁぁぁーーーーーイッちゃいますぅぅーーーーー」
と、由一が胸をのけ反らせて叫ぶ。
堂本は、そんな由一の乳首をチューとわざと音を立てて吸い、その音を聞かせてもっと由一を淫らにしようとした。
そんな堂本の思惑が当たり、由一は乳首を吸われていることが堪らなく気持ちが良かった。
さっきまでは、痛いだけだったのに。
どうして急に、こんなに感じやすい身体になってしまったのか。
真琴と自分、そして藤堂と堂本を重ねれば重ねるほど、身体が敏感になっていくような気がしていた。
今自分は、藤堂に抱かれる真琴のように、淫らに激しく堂本に抱かれようとしているのだ。
まるでヤクザの情夫のように。
「あっ・・・だめですっ・・・あぁぁ・・・・・」
由一は、もうこれ以上は堪えられないという声を上げて、下半身を上下にくねらせた。
そしてそのまま、堂本の手の中で絶頂感を極めてしまう。
「あぁぁぁーーーーーーーっ」
長くてねっとりした喘ぎ声を上げながら、初めての快楽に酔いしれていた。
「あっ・・・あんっ・・・・・」
ピクンッと何度も腰を揺らし、堂本の手の中に飛沫を放っていく。
堂本の手が受け止めきれない飛沫は、由一の白い内股や高価なソファにまで飛んでいった。
由一は、絶頂の余韻に浸っていて、そんなことには気づかない。
「・・・・・・・堂本さん」
しっとりと濡れた瞳で堂本を見上げ、後ろ手に縛られている由一は熱っぽく呼んだ。
他人の手でイカされることがこんなにも快感だったなんてこと、初めて知った由一だった。
自分の手でやるより、何倍も気持ちいい。
それにこの解放感と満足感は、想像を絶していた。
由一が、ハァハァと肩で息をしながらソファの背もたれに寄りかかっていると、堂本は手に付着した飛沫を由一に見せて、それからテーブルの上にあったおしぼりで拭いた。
「ここで働きながら、いったい何を考えていたんだ?俺にこうしてほしいってずっと思っていたんだろう?違うか?」
飛沫量の多さに驚きながら、堂本はふふっと笑って由一に言った。
由一は堂本の言葉の意味が分かって、顔を赤面させてしまう。
つまり、ずっと堂本にこうされたいと願っていたんだろうと聞かれたのだ。
その通りだから、何も言い返せない。
それに絶頂感に浸っている今の状況では、反論などできなかった。
「・・・堂本さん・・・・・」
由一はこの時初めて、堂本を好きなんだと素直に思えた。
まだ出会ったばかりだし、お互いに何も分かっていないのだが、堂本を好きなのだという気持ちだけは本心だった。
どうしてこんなにも堂本を好きなのか分からない。
だが、堂本にキスをされて、こうして愛撫されることが、由一は堪らなく好きだった。
もっと早くこうしていれば、無理に逃げ出すこともなかったかもしれないのに。
そんなことまで思ってしまう。
「堂本さん・・・。私・・・堂本さんが・・・・・」
由一が自分の気持ちを口にしようとすると、堂本はその唇をキスで塞いでしまった。
今ここで由一に愛を告白されてしまったら、本当にここで抱いてしまいそうだったのだ。
もう、自分の欲望が止まらなくなってしまう。
「その先は・・・また今度会った時に聞く。それよりも・・・由一・・・」
「はい?」
「もっと俺を呼べ、この唇で・・・俺を呼ぶんだ、由一」
堂本はそう言って、再び由一の濡れている唇をたっぷり塞いだ。
「・・・・・んっ・・・はぅ・・・ん・・・・・」
口中を犯すような激しいキスが、由一を襲う。
由一は、そのキスを受け入れながら瞼を閉じていく。
由一の口端からは、唾液がしとどに伝い落ちていく。
飲み込めない唾液が首筋まで伝い、二人がどんなに激しいキスを繰り返しているかを想像させた。