東京ハードナイト 25
サニタリールームで下ろされた由一は、堂本のYシャツのボタンを外しながら言った。
すると由一の所々汚れた衣服を脱がせている堂本が、ふふっと笑う。
「俺の背中には、毘沙門天が祭ってある」
「・・・それは・・・刺青ってことですか?」
「刺青は・・・嫌いだろう?」
と、堂本が少し左目を細めて言う。
由一は、すぐに『いいえ』と言って首を振った。
「堂本さんのだったら、好きです」
きっと、今回の拉致事件がなかったらこんなセリフもすんなりと出たりはしなかっただろう。
確かに由一は刺青をしているような人種は別世界の人間だと思っていたし、はっきりいって嫌いだった。
だが、真琴を抱く藤堂の背中の昇り竜を見た時から、そんな自分の考えが少しずつ変わっていったのだ。
真琴の白い身体の上でゆっくりと動く昇り竜の刺青は、まるで真琴を犯しているようだった。
昇り竜が真琴の中に入っていくようで、とても淫靡で美しい光景だった。
藤堂の雄々しい刺青を見る機会に恵まれたのは二度目だったが、由一はそれから刺青に対して憧れに似た感情を抱くようになっていた。
「堂本さんの刺青に触れたい・・・」
由一は、裸になった状態で言った。
堂本は着ていたものを脱ぎ、筋肉がついた逞しい裸体を披露する。
堂本の肩から背中、そして腰には、色の入った美しい毘沙門天の刺青が彫られていた。
由一は息を殺してその刺青に見入った。
綺麗だった。
本当に美しいと思ったのだ。
「綺麗・・・」
由一がうっとりと呟き、背中に指先で触れてみる。
広くて逞しい背中から腰にかけて、甲冑を纏い、鉾を持った仏法守護神毘沙門天が雄々しく立っていた。
「後でゆっくりと見せてやる。今は・・・由一の方が先だ」
堂本はそう言うが早いか、由一の身体を再び抱き上げてバスタブに入っていく。
二人で入ってもまだ余裕のある広いバスタブには、ローズの香りが立ちこめていた。
堂本はバスタブの中から手を伸ばし、ジャグジーのスイッチを押す。
するという細かい泡が勢いよくバスタブの横から噴射して、由一の身体を包んでいった。
「すごい・・・」
「使うのは初めてか?」
「はい」
「だったら、楽しめ」
堂本はニヤッと笑ってそう言うと、由一の身体を抱き寄せた。そして泡が噴射されている方に向かって、由一の身体を反転させる。
「堂本さん?」
堂本が何をしようと思っているのか、由一には分からなかった。
だが湯の中で由一の足を左右に開き、泡が噴射されている部分に股間を当てようとしているのを知ると、ギョッとした。
堂本がこれからしようとしていることは、とてもエッチなことだった。
ジェット噴射されている泡が、由一の股間に当たるようにしているのだ。
つまり、泡の刺激で由一を感じさせようとしている。
「あっ・・・堂本さんっ・・・いやっ・・・」
と、慌てて足を閉じようとしても、堂本はしっかり左右の足を抱えるように押さえていて、閉じることなど許されなかった。
「あっ・・・あぁ・・・」
案の定、堂本は思いきり左右に開いた股間に、ジェット噴射されている泡を当てる。
すると勢いのある気泡が、由一の股間全体を激しく刺激して、初めての快感を与えていく。
「あ・・・だめっ・・・堂本さんっ」
由一は、分身を直撃している気泡の感触をもろに受け止め、その快感に思わずビクンッと腰を震わせた。
こんな感触は初めてだったのだ。
泡の刺激がめちゃくちゃ気持ちいい。
「あぁぁ・・・・・」
堂本は、背後からしっかりと由一の両足を抱えたまま、勢いのある気泡の刺激から逃げることを許さなかった。
「あぁぁ・・・だめぇぇぇ・・・・・」
由一は、今にも果ててしまいそうな声を上げて思いきり首を左右に振る。
勢いのある泡が与えてくれる快感は、想像を絶するくらい、いい。
ブクブクとしている泡の細かい優しい感触が、集団となって由一の分身目がけて襲ってくる。
バスタブに入った時はそれほど硬くなかった由一の分身は、その気泡の攻撃によって一気に膨張し硬くなっていた。
手で、ねっとりと愛撫されるのとはまた違う不思議な快感が由一をどんどん淫らに変えていく。
「あぁぁ・・・そんな・・・ああっ・・・」
「気持ちいいと、言ってみろ」
堂本は、後ろから耳たぶを噛むようにして由一に言う。
由一はその刺激にも十分に感じてしまいながら『あんっ』と甘えるような喘ぎ声を漏らした。
「そうじゃない。気持ちいいと・・・ちゃんと口に出して言って見ろ」
と、堂本が再び耳たぶを噛む。
だが堂本は今度は耳たぶを噛むばかりでなく、左右の手で乳首までも引っ張るようにして愛撫していた。
「・・・・・イッちゃいますぅぅぅーーーーーっ」
思わず、由一が叫ぶ。
「だめだ。ちゃんと言えるまでイかせない」
堂本はそう言って、泡のジェット噴射口から由一の股間をずらしてしまった。
由一は、今までの中で最高の絶頂感を極めそうだった状況から、突然放り出されてしまい『いやぁぁぁーーーーー』と叫び声を上げる。
そして無我夢中でお湯の中で足をバタつかせて、また気泡が分身に当たるようにしてほしいと訴える。
「堂本さん・・・いやですぅ・・・・・。もうちょっと欲しいぃ・・・・・」
「だったらちゃんと言え。こうして泡で弄ばれて、気持ちいいか?」
由一は、もう恥ずかしいなんて言っていられなかった。
あの泡の柔らかくて優しくて、それでいてどんな刺激よりもたっぷりと濃厚に感じさせてくれる感触をもう一度味わいたかったのだ。
あの甘美で脳が溶けてしまいそうな感触を味わえるなら、なんだって言う。
どんなことだって、しちゃう。
そんな気持ちだった。
「はい・・・気持ちいいです・・・アソコに泡が当たって・・・気持ちいいです」
と、由一が焦れたように喘ぎながら言うと、堂本はニヤッと口元を歪めて笑った。
「どんなふうに気持ちいいのか、言ってみろ」
どんなふうにと言われても・・・と由一は思ったが、言葉に出して言わないと、また下半身の位置をずらされてしまう。