東京スペシャルナイト 上 8
- 2015年12月20日
- 小説, 東京スペシャルナイト
だけど本心から言えば、前回のAセットよりも時間の長いCセットのほうがよかったんだけど・・・。
「今度、時間があるときにCセットにしましょう。疲れの取れ方もだいぶ違いますから」
まるで宇宙の心の中を読んでいるような桜井の言い方に、ドキッとした。
「では、始めます」
足の裏にマッサージオイルをたっぷりと塗り込めながら桜井が言う。
宇宙は、ちょっと痛くてすごく気持ちいいその感触に、思わず目を閉じて身体から力を抜いた。
「・・・・・んっ・・・」
「この前よりも、だいぶ疲れが溜まってますね」
「そうで・・・すか・・・ぁっ・・・・・」
つい、変な声が漏れてしまう。
「教師という職業も大変なんですね」
「は、はい・・・。それはもう・・・あっ・・・いっ・・・」
「ここ、痛いですか?」
「あっ・・・痛くて・・・気持ちいい・・・ですぅ・・・・・」
宇宙が、うわずった声で答える。
すると桜井は、クスッといつもの優しい笑みを漏らした。
「では、もう少し気持ちよくしてあげましょう」
と言って、宇宙が気持ちいいと感じるツボを探りながらゆっくりと指圧していく。
「あっ・・・んっ・・・ぁっ・・・・・」
そこがまたものすごく気持ちよくて、指の力の入れ具合がなんとも絶妙で、宇宙の口からは喘ぎ声に似たような色っぽい声が漏れていく。
宇宙はすぐに自分が発した声に気づき両手で口を塞いだが、桜井のマッサージのほうが上手だった。
塞いだはずの指の間から、色っぽい声が漏れてしまうのだ。
「ぁっ・・・んっ・・・ぁっ・・・・・」
桜井さんのマッサージを受ける人はみんなこんな色っぽい声を上げるのだろうかと、真っ赤な顔で疑問に思いながら、足元の桜井をチラッと見る。
桜井は、足の裏を丁寧にマッサージしながら両手で口を塞いでいる可愛い宇宙をじっと見つめていた。
桜井の目と宇宙の目が、合ってしまう。
もしかして、ずっーと見られてた?
色っぽい声を上げてたところを、ずーっと?
慌てて視線をずらした宇宙は、湯気が出るくらい顔を赤らめた。
すると、ムクムクッと、宇宙の分身が頭を擡げ始める。
「あっ!」
それに気づいた宇宙は、思わず大声を上げた。
「痛かったですか?」
驚いた桜井が、思わず指圧の指を緩める。
「い、いいえっ。あの・・・痛くないですっ。全然・・・気持ちいいです」
慌ててそう言って、宇宙は今度は股間を手で覆った。
その素直な行為に、見ていた桜井のほうが驚いてしまう。
さっきまで色っぽい声を上げていた口ではなく、ガウンの上から股間を両手で隠している宇宙の姿は、信じられないくらい可愛いかった。
こんなことをしたら、股間に変化が起こってしまっていることを、わざわざ桜井に教えているようなものである。
しかもそんなしっかり押さえなくても・・・・・。
桜井は、宇宙の可愛い行動に唖然としながらも、噴き出してしまいそうになるのを必死で堪えていた。
足の裏にある、男性自身が元気になる秘密のツボを執拗に指圧したのだから、勃起するのは当然なのに。
そんなことなどまったく知らない宇宙は、自分を恥ずかしがるように自身を押さえているのだ。
なんて可愛いのだろうか。
この人は本当に、教師なのだろうか。
まるで純真無垢な子供のような反応である。
桜井は宇宙の素直さに感心し柔らかく笑いながら、足の裏のマッサージを続けた。
そしてマッサージを受けている宇宙はというと、もう必死だった。
足の裏のツボを指圧されればされるほど、どんどん分身が頭を擡げてしまうのだ。
必死に両手で隠しても、強く押さえても、分身は硬くなる一方だった。
この前はうつ伏せのときだったから隠せた。
まだ、よかった。
だけど今回は仰向けだから、分身が勃起してしまうとガウンを押し上げてすぐに分かってしまうのだ。
そんなことにでもなってしまったら、足の裏をマッサージしているだけなのに、なぜか妙に興奮して男の分身を勃起させている変態教師というレッテルを貼られてしまう。
欲求不満なんじゃないかとか、少し緊張しているんじゃないかとか、そんな生易しいもんじゃない。
勃起しているところを見たら、誰だって変だと思う。
きっと桜井さんだって、足の裏をマッサージされて勃起させてるなんて変だ。教師とかいいながら、実は変態じゃないかって思うに違いないのだ。
反町に似ている格好いい桜井さんに、そんなふうに思われるなんて、絶対耐えられないっ。
他の誰かに変態って思われてもいいけど、桜井さんだけには絶対こんな卑猥な姿、見せられない。
宇宙は、ただひたすら必死にそう思っていた。
そう思い込みすぎて、両手で股間を隠していること自体が変だということに気づかなかった。
桜井は、そんな宇宙を優しく微笑んで見つめている。
「では・・・今度はうつ伏せになってください」
桜井は何も気づかないふりをして、宇宙に言う。
宇宙は天の助けとばかりに急いでベッドの上にうつ伏せになった。
これでやっと、股間を隠さなくていいのだ。
下半身が反応していることを、知られなくてすむ。