東京スペシャルナイト 下 7
- 2016年03月15日
- 小説, 東京スペシャルナイト
「おい、女を一人連れてこいっ」
ベッドの上できつい表情で亨を睨みつけていた遼一は、怒りの矛先が宇宙に向いてしまったことに内心慌てていた。
だが顔には出さない。
顔に出してしまったら、弱みを見せることになってしまうからだ。
病室を出ていった恭也が、真っ赤なカクテルドレスを着た女を連れてドアから入ってきた。
女は官僚や政治家を相手にしている、高級コールガールというものだった。
亨の裏の商売の一つである。
「口を開けっ」
胸の谷間を惜しげもなく見せている髪の長い女は、女優のように美しく艶やかだった。
「・・・はい」
命令されるがままに女は床に膝をつき、遼一の目の前で亨のファスナーを下げていく。
いつもは遼一がやっている行為だったが、腹の虫が収まらない亨は、女の口を代用品にしようとしていた。
ファスナーが下がると、太くて見事に反り返った亨自身が現れた。
今まで何千回となくしゃぶらされ、そして手でマッサージを施してきた亨自身は、怒りのためかいつもよりずっと太く感じた。
「何をしている、早くしろっ」
女の髪を掴み、グイッと巨根に顔を近づける。
女は慌てて口を大きく開き、亨自身を喉の奥深くにのみ込んでいった。
「んぐぅ・・・ぐぅ・・・・・」
真っ赤な唇から嗚咽のような声が漏れる。
亨の分身が喉深くまで到達しているために、息も満足にできなかった。
「んんっ・・・ぐぅぅ・・・・・」
唇が引きちぎられるほど大きく開き、女はもがき苦しみながらも必死に顔を振って享自身を愛撫した。
どんなにつらく苦しくても、相手を満足させなければこの行為から逃れられないことを女は身に染みて知っていた。
しかも相手は大物政治家を父親に持つ実業家、大江原亨である。
少しでも機嫌を損ねてしまったら、どんな目に遭わされるか分かったものではない。
実際、高級コールガールの中でも亨を怒らせた女は、どんなに上客がついていようと容赦なくソープランドに売り飛ばされる。
高級コールガールは相手が官僚や政治家だけあって、収入がよかった。
客と寝ている以外は自由な時間もあり、ヒモのような男もいない。
亨の言いつけどおりに客と寝ていれば、多少の贅沢も楽しめるのだ。
「もっと奥までのみ込めっ、それでもコールガールか?」
亨はイライラしたように女に向かって叫んだ。
女は、今にも意識を失いそうなくらい喉の奥まで巨根をのみ込んでいる。
いつもなら十分に満足するフェラチオなのだが、今日の亨は、遼一の一件でものすごく不機嫌だった。
不機嫌というよりも、怒り爆発という感じである。
「・・・もっとだ・・・もっと深く・・・」
亨はその怒りを表すかのような鋭い眼差しで、ベッドの上の遼一をじっと見つめていた。
遼一の顔を見ていると、遼一にフェラをされているかのような気分になってくる。
遼一の舌技は絶妙で、コールガールなど束でかかっても敵わないような快感を亨に与えてくれるのだ。
そして遼一の手が繰り出すウルトラスペシャルマッサージは、この世のものとは思えないような、女とのセックスでは決して味わえないような快感を味わうことができる。
亨は、遼一に対して特別な感情は持っていなかったが、遼一の口と手だけは愛しいと思っていた。
その遼一が亨の目を盗み、他の男と愛し合い、自分だけの楽しみであったウルトラスペシャルマッサージまでしたという。
亨は、自分ではどうしようもないくらい、頭に血が上っていた。
そのどうしようもない怒りが、女へと向けられる。
「・・・遼一・・・。見ているがいい。お前の前で宇宙という男の大事な部分を切り取ってやる」
女の髪を掴み上げ、激しく前後に揺すりながら亨は言った。
ビクッと、遼一の身体が震える。
その反応を見ていた亨が、追い打ちをかけるように言葉を続けた。
「だがその前に・・・宇宙を恭也やヤクザたちに犯させ、ヒーヒーと泣き叫んでいる姿をビデオに撮ってやろう。きっと面白いビデオが撮れるぞ」
遼一の上半身がわなわなと震え、眉尻が吊り上がる。
唇はキュッときつく、横一文字に結んだままだった。
遼一が動揺しているさまが小気味よくて、亨は次々とひどい言葉を投げつけた。
「そのビデオを売ってもいい。デジカメで撮って、ネットで流して儲けるという手もあるな。『現役の教師の実情』という題名で売り出すんだ。どうだ?いい案だろう?」
亨のその言葉に、さすがの遼一も切れてしまった。
ベッドから飛び降りて、亨に飛びかかろうとする。
だが足枷が、遼一の行く手を遮った。
ドタンッと、右足だけをベッドの上に残し床に倒れこんでしまう。
「宇宙に手を出したら、許さないっ!お前を・・・絶対許さないっ。必ずお前を後悔させてやる」
床にうつ伏せで倒れている遼一が、足枷を外そうとしてもがきながら亨に向かって言う。
格好はなんとも情けなかったが、遼一の目はその言葉が嘘でないことを告げていた。
それは、今まで向けられたことのない血なまぐさい修羅の目だった。
髪を掴んで揺らしていた亨の手が、一瞬止まってしまう。
こんな状況でありながらも、全身から立ちのぼるような覇気と気迫はいったいなんなのだろうか?
屈することをあくまでも拒否し続ける、遼一の目。
足枷がなければ本当に亨に飛びかかってきそうな、殺気だった目。
それはまぎれもなく、紅林組組長の息子だと立証するような目だった。
紅林組は今、組長の命令でやっきになって愛人の子供である遼一の存在を確かめている。
死んだとされている遼一を、懸命に捜している。
もし紅林組の者たちが、次期組長である遼一が十年というもの男の囲われ者として生きてきた事実を知ったらどうするだろうか?
手を貸している恭也の竜胴組との全面戦争は避けられないだろう。
だがそれでも、亨は遼一を手放す気にはならなかった。
亨の中に、初めて嫉妬が湧き上がってくる。
僚一に対して、嫉妬心を抱いたのは初めてだった。
「もういいっ。立って向こうを向いて脚を広げろ」
ベッドの上に女の上半身をうつ伏せにして、腰を突き出させる。
女は次に何をされるか承知をしていて、素直にドレスの裾を持ち上げ、両脚を広げた。
女は最初から下着はつけていなかった。
女の濡れそぼっている花園が、亨の目の前に広がっている。
亨は乱暴に分身を花園にあてがい、一気に突き刺した。
「あぁぁぁ・・・・・」
女が悲鳴のような声を上げて、ベッドのシーツをきつく掴む。
ちょうど、下からその様子を見上げるような格好になった遼一は、亨の巨根に貫かれ悲鳴を上げている花園を目の当たりにした。
「さ、裂けちゃう!」
女がたまらず腰を引いて叫ぶ。
だが亨は女の長い髪を乱暴に引っ張って、もっと強く巨根を打ちつけた。
「あっ・・・ひぃぃーーーーーーっ!」
女が絶叫する。
それほど、亨の分身は硬くて太かった。
女の手首ほどもありそうである。
グチャグチャと淫らな音を立てながら、僚一の上で腰を揺すり女を犯していく。
女の花園からはいつの間にか鮮血が垂れていた。
「もう、やめるんだ。これ以上やったら・・・・・」
泣き叫んでいる女を見ていられなくなった遼一が、たまらず言う。
だが亨は、構わずもっと乱暴に花園を壊すような勢いで腰を動かしてた。
「ひぃぃぃーーーーーっ」
「ここで男をくわえ込むことが商売なんだ、こんなことで音を上げてどうする?」
と、言った亨が、女のもう一つの穴に中指を挿入していく。
「あっ・・・ひっ・・・あぁぁぁっ・・・・・」
巨根と中指を根元まで突っ込まれた女は、ヒーヒー泣きよがりながら許しを求めた。
だが亨はまだ、解放してやる気にはならなかった。
「もう、やめろと言ってるんだっ!」
そう叫んだ遼一が、床を這うようにして亨の足元にしがみつく。
なんとか亨の行きすぎた行為をやめさせようとする。
だがそれでも亨は、女を犯す行為をやめようとはしなかった。
「お前が変わってくれるのか?」
激しく腰を前後に揺らしながら、亨は遼一を見つめて言った。
人間の温かみなどまったく感じられない亨の言葉を受け、遼一は一瞬言葉を詰まらせた。
「お前が代わるというまで、女は犯し続ける。女がこのまま狂おうが死んでしまおうが・・・俺の知ったことではない。すべての責任はお前にあるんだからな、遼一」
亨はそう言って、女のもう一つの穴に挿入している指を二本に増やす。
そしてうっすらと血が滲んでいる蕾に、二本の指を一気に挿入した。
女の花園には、亨の巨根が根元まで埋め込まれている。
「ひっ・・・あぐっ・・・うぅぅ・・・・・」
上下から同時に刺し貫かれた女は、くぐもったような呻き声を上げて目を白黒させた。
だらしなく開いた口端からは、唾液が滴っている。
「ゆ、許して・・・くださ・・・・・・」
女が泣きながら許しを請う。
だが亨の動きは激しさを増すばかりで一向に止まらない。
「指二本では不服か?ではもう一本増やしてやろう」
亨は面白そうにそう言うと、血が付着している二本の指を引き抜き三本に増やした。
そして逃げようとする女の腰を片手で押さえながら、三本の指を蕾に挿入していく。
「ぎゃっ・・・・・」
さすがにきつくて、強引に挿入しようとしてもなかなか入らなかった。
女は商売柄、アナルセックスには慣れていたが、それはローションを使ったり十分に解したりした上での行為であった。
まだなんの準備もされていない蕾を、こんなに強引に犯されたことなどない女の蕾は、とたんに悲鳴を上げていた。
「おっと・・・。裂けたか?」
鮮血が指を伝ったのを見て、亨がニヤッと笑って言う。
その様子を見ていた遼一はもう限界とばかりに亨に言った。
関係もない女がセックスというリンチに遭うことに我慢ができなかった。
こんなひどいやり方をして、このままでは本当に殺されてしまうかもしれない。
「待てっ!分かったから・・・待て・・・」
遼一が苦しそうに言う。
「何が分かったんだ?」
亨が女の花園をわざと壊すように搔き回しながら、遼一を見る。
遼一は苦虫を噛み潰したような顔をしながら、項垂れた。
「・・・あなたの言うとおりにする。だからその女を解放してやってくれ」
と、遼一がやっとの思いで言うと、亨は満足そうに両目を細めた。
「言い方が気に入らない。ちゃんといつものように言ってみろ」
亨が遼一の髪を掴み上げ、すっかり腫れの引いた顔をじっと見つめながら言う。
遼一は心の中では決して屈しないと思いながらも、見ず知らずの女を犠牲にしたくはないと口を開いた。
「・・・あなたの言うとおりにします。だから・・・その女を解放してください」
そう言った遼一が、くやしそうに唇を血が出るほど嚙みしめる。
そんな遼一を見てやっと心の中のもやもやが晴れた亨は、女の尻を蹴飛ばすようにして床に転がした。
「さっさと行けっ。もうお前に用はない」
亨の言葉を受けた女は、白い内股に鮮血を流しながら、ヨロヨロと立ち上がってドアから出ていく。
病室の外には見張りのヤクザが数人立っていたが、こういう状況に慣れているのか、女の悲惨な姿に顔色を曇らせる者はいなかった。
バタンとドアが閉まり、病室の中には遼一とヌラヌラと真っ赤に光っている巨根を見せびらかしている亨がいるだけだった。
「今言った言葉が本当かどうか、確かめてやる。お前にはめたいと思ったのは初めてだが、俺を裏切った罪の重さを味わうにはちょうどいいだろう。ベッドの上で四つん這いになれ。女のように、尻を突き出すんだ」
亨はそう言って、遼一の髪を引っ張った。
戸惑い、どうしようかと迷った遼一だったが、女のことを思い出してベッドの上に上がった。
そして言われたとおりの格好をする。
「ガウンを脱げ。全裸になるんだ」