東京スペシャルナイト 上 10
- 2015年12月26日
- 小説, 東京スペシャルナイト
普通、こういうところではお尻の蕾なんてマッサージはしない。
歌舞伎町にあるような、怪しい個室マッサージ店は別だが・・・・・。
だが素直で純朴で人を疑うことなどまったく知らない宇宙は、すっかりその言葉を信じてしまっていた。
なんだ、そうなのか。
みんなやってもらっているのか。
みんなやってもらっているんだったら、恥ずかしがることなんてないじゃん。
病院に行って、人間ドックに入っているようなものだと思えばいいんだ。
お尻からチューブを挿入して、腸の中を診てもらっていると思えばいいんだ。
あっ、そうか。
今気づいたけど、だから個室なんだ。
こういう恥ずかしい部分もマッサージしてもらうから、個室なんだ。
そうだと分かったら、なんだか余計に感じてきちゃった。
あぁぁぁーーーーーんっ、どうしよう。
ガウンの上からだって分かってるけど、なんだか指が直接蕾の中の入っているような感じがして、弄られているそこがじっとりしてきたみたいで、もうどうしていいのか分からない。
でも、みんな同じようなことをされているなら、このままじっとしていたほうがいいのかもしれない。
桜井さんに、すべて任せて・・・・・。
宇宙はそう思いながら、身体中から余計な力を抜いていった。
すると、蕾をマッサージしていた桜井の指が、もっと深くガウンや下着ごと内部に入ってくるのが分かる。
しかも、マッサージのおかげで柔らかくほぐれているせいか、まったく痛くないのだ。
「あんっ!」
宇宙は、指が内部に入っているような感触よりも、苦痛を伴わないことに驚いていた。
普通、こういう場所に異物を挿入したらとても痛そうな気がするのに。
でも、さすがに恥ずかしい。
「さ、桜井さんっ!」
宇宙は思わず声を上げて、後ろを振り返った。
すると桜井の優しい瞳とかち合い、顔を真っ赤にしてしまう。
「だいぶ・・・・・ほぐれてきましたね」
「あっ・・・はい・・・。もうほぐれすぎちゃって・・・あっ・・・んっ・・・」
どうしても喘ぎ声になってしまう。
宇宙は、泣きたいような心境になった。
きっとこんな声を上げて身悶えているのは自分だけなのだろうと思うと、なんだかとても情けなくなってくる。
桜井を指名して、自分の順番が回ってくるのを待っている客はたくさんいるのに。
あぁぁーーーーーもう。
「さてと、今日はもういいですよ。だいぶ身体が柔らかくなったようですから。次は来週の金曜日に来てください。予約は8時からでいいですか?」
と、桜井が宇宙の背中から腰をパンパンッと軽く叩いて言う。
宇宙は、いつの間に蕾から指を離したのかと不思議に思いながら「は、はい」と可愛い声で返事をした。
桜井の話などもう耳に届かないくらい、蕾も下半身もフニャフニャ状態だった。
「では、支度をしてください。私は次の予約が入っていますのでこれで失礼します」
「は・・・はい・・・。ありがとうございます」
「では、来週お待ちしております」
と言った桜井は、極上の微笑みを残して部屋を出ていく。
狭い個室の中に取り残された宇宙は、しばらくの間立つことができなかった。
腰にはどうしても力が入らないのだ。
やっと立っても、足がフラフラして頭の中も真っ白だった。
しかも、分身は想像どおり勃起し白い体液を漏らしていたのだ。
下着の中は、自分の放ったものですっかり濡れてしまっていた。
「いつの間に・・・?」
呆れ果てたように宇宙が呟く。
きっと蕾をマッサージされている最中なのだろうか、いつこんなことになったのかはっきりとは覚えていなかった。
あまりにも気持ちよくて、初めての体験で、もうどうにでもしてって感じである。
宇宙は、体液を放ったにもかかわらずまだ元気なままの自身を恨めしそうに見下ろすと、ゆっくりとスーツに着替えていった。