東京スペシャルナイト 上 20
- 2016年01月15日
- 小説, 東京スペシャルナイト
だが今さら迷ったところでしょうがない。
それにせっかくこんな素晴らしいラブホテルに入ったのだから、楽しまなければ損である。
桜井さんも裸だし、それに自分の裸は嫌というほどこの前のスペシャルマッサージのときに見られているし。
恥ずかしがる要素など何もないのだ。
「よしっ。プールに入っちゃう」
宇宙は決心すると、急いでスーツをソファに脱ぎ捨て、全裸になった。
そしてそのまま、桜井が泳いでいるプールの階段を駆けのぼり、勢いをつけてドボンッと中に入る。
温水プールの中に入ると、すぐに桜井が後ろから抱きついてきた。
桜井の硬い分身が、お尻の割れ目に当たってるぅ。
「もう少し待たせたら、お仕置きするつもりだったんですけど、まぁいいでしょう」
「お、お仕置き?」
上品な桜井さんからは想像もできない言葉に、宇宙は驚いてしまう。
でもなんだかとっても卑猥でエッチな響きがあって、ゾクッとしてくる。
それに、さっきからお尻に当たっている桜井の分身の存在が気になるぅ。
「お仕置きはこの次にして・・・今はせっかくだから遊びましょう」
と言った桜井が、宇宙の身体をプールに沈めてしまう。
ブクブクブク・・・・・。
宇宙は突然のことに驚きながらも、必死に水中で桜井の手から逃れようともがいた。
溺れそうになっていることに気づいた桜井が、宇宙の頭を水中から出してあげる。
「さ、桜井さんっ!」
少し怒って、宇宙が叫ぶ。
すると桜井はクスクスと笑って、宇宙の唇にキスをした。
「遼一でいいですよ。私のことは遼一って呼んでください」
「り、遼一・・・?」
遼一って呼んでくださいって、急に言われても。
姿のとおり綺麗でいい名前だなーと改めて感心しながらも、遼一と呼び捨てに呼んでもいいと言ってくれたことに、なぜか胸の奥がキュッと痛くなる。
心地よくて思わず涙が出ちゃいそうなその胸の痛みを、宇宙は大切にしなければいけないと直感で感じていた。
男同士の裸の付き合いって、いいなー。
「そんなにボーっとしてると、また沈めてしまいますよ」
水中に潜った桜井が、宇宙の足を引っ張ってまた沈めてしまう。
慌ててもがく宇宙だったが、桜井の力強い手によって引き込まれてしまっていた。
水中で激しく絡み合う二つの裸体。
そしてディープキス。
宇宙は、まるで夢の世界にいるような気がしていた。
あんなに恋い焦がれていた桜井と裸同士でプールに入り、抱き合い、キスまでしているのだ。
しかしファーストキスである。
夢物語の、人魚にでもなったような気分だった。
「ぷはぁーーーーーっ」
息が苦しくなって水面に顔を上げ思い切り息を吸い込むと、また水中に引きずり込まれる。
そして抱きしめられて、ディープキス。
宇宙の両脚はいつの間にか左右に開き、その間に桜井の股間が入り込んでいた。
ゆらゆらとした水中で押し合い擦れ合う、勃起した二人の分身。
その感触が、エロティックでたまらないっ。
「ーーーーーんんっーーーーー」
なんとも言えないくらい気持ちよくて、焦らされているような感じがたまらなくて、宇宙は水中で何度もイキそうになってしまった。
頭の中がクラクラするほどのディープキスと、密着した肌の感触と擦れる股間の感覚。
どれもこれも、宇宙には初めてのものばかりだった。
こんなことを二十分も繰り返し続けていると、宇宙の身体からはすっかり力が抜けていた。
自分の足で水中に立っていられないくらい、水中で体力を奪われていた。
「そろそろ、上がりましょうか?」
そう言って、桜井が力の抜けきった宇宙の身体を引き上げる。
そして抱き上げて階段を下りると、そのままバスルームへと直行した。
広いバスルームには、マットレスのようなものが敷いてあった。
そこにグッタリとしている宇宙の裸体を仰向けで寝かせ、桜井はチュッと唇にキスをした。
宇宙が愛おしくてたまらない、そんなキスだった。
「桜井さん?」
「遼一でいいと言ったでしょう?」
優しく笑って、桜井が言う。
だが宇宙は、遼一と呼んでしまうのがもったいなく思えた。
もっと関係が深くなって、互いに愛し合うようになったら、そのときは迷わず遼一と呼びたい。
だけど今は桜井さんでも十分だと思っていた。
こうして二人きりでホテルに入って、キスをされて・・・・・。
桜井さんの時間を独り占めできるこの幸せは、例えようもなかった。
今はそれだけでいい。
そうじゃないと、一度に何もかも独り占めしてしまったら、もったいない。
幸せすぎて、桜井さんを失ってしまいそうで、怖いのだ。
「今はまだ、桜井さんでいいんです。今はまだ・・・・・」
宇宙の控えめな言葉に、桜井は優しく微笑んだ。
そして備え付けのボディソープを手の中にたっぷりと垂らし、泡立ていく。
泡立てたソープは、そのまま宇宙の身体の上に落としていく。
「・・・桜井さん?」
「大丈夫ですよ。心配しないでそのままじっとしててください。言ったでしょう?宇宙が嫌がることは何もしませんって」
「・・・はい」
宇宙はすぐに素直に返事をして、ヌルンっとした泡の感触に神経を集中させる。