東京スペシャルナイト 上 20

だが今さら迷ったところでしょうがない。

 

それにせっかくこんな素晴らしいラブホテルに入ったのだから、楽しまなければ損である。

 

桜井さんも裸だし、それに自分の裸は嫌というほどこの前のスペシャルマッサージのときに見られているし。

 

恥ずかしがる要素など何もないのだ。

 

「よしっ。プールに入っちゃう」

 

宇宙は決心すると、急いでスーツをソファに脱ぎ捨て、全裸になった。

 

そしてそのまま、桜井が泳いでいるプールの階段を駆けのぼり、勢いをつけてドボンッと中に入る。

 

温水プールの中に入ると、すぐに桜井が後ろから抱きついてきた。

 

桜井の硬い分身が、お尻の割れ目に当たってるぅ。

 

「もう少し待たせたら、お仕置きするつもりだったんですけど、まぁいいでしょう」

 

「お、お仕置き?」

 

上品な桜井さんからは想像もできない言葉に、宇宙は驚いてしまう。

 

でもなんだかとっても卑猥でエッチな響きがあって、ゾクッとしてくる。

 

それに、さっきからお尻に当たっている桜井の分身の存在が気になるぅ。

 

「お仕置きはこの次にして・・・今はせっかくだから遊びましょう」

 

と言った桜井が、宇宙の身体をプールに沈めてしまう。

 

ブクブクブク・・・・・。

 

宇宙は突然のことに驚きながらも、必死に水中で桜井の手から逃れようともがいた。

 

溺れそうになっていることに気づいた桜井が、宇宙の頭を水中から出してあげる。

 

「さ、桜井さんっ!」

 

少し怒って、宇宙が叫ぶ。

 

すると桜井はクスクスと笑って、宇宙の唇にキスをした。

 

「遼一でいいですよ。私のことは遼一って呼んでください」

 

「り、遼一・・・?」

 

遼一って呼んでくださいって、急に言われても。

 

姿のとおり綺麗でいい名前だなーと改めて感心しながらも、遼一と呼び捨てに呼んでもいいと言ってくれたことに、なぜか胸の奥がキュッと痛くなる。

 

心地よくて思わず涙が出ちゃいそうなその胸の痛みを、宇宙は大切にしなければいけないと直感で感じていた。

 

男同士の裸の付き合いって、いいなー。

 

「そんなにボーっとしてると、また沈めてしまいますよ」

 

水中に潜った桜井が、宇宙の足を引っ張ってまた沈めてしまう。

 

慌ててもがく宇宙だったが、桜井の力強い手によって引き込まれてしまっていた。

 

水中で激しく絡み合う二つの裸体。

 

そしてディープキス。

 

宇宙は、まるで夢の世界にいるような気がしていた。

 

あんなに恋い焦がれていた桜井と裸同士でプールに入り、抱き合い、キスまでしているのだ。

 

しかしファーストキスである。

 

夢物語の、人魚にでもなったような気分だった。

 

「ぷはぁーーーーーっ」

 

息が苦しくなって水面に顔を上げ思い切り息を吸い込むと、また水中に引きずり込まれる。

 

そして抱きしめられて、ディープキス。

 

宇宙の両脚はいつの間にか左右に開き、その間に桜井の股間が入り込んでいた。

 

ゆらゆらとした水中で押し合い擦れ合う、勃起した二人の分身。

 

その感触が、エロティックでたまらないっ。

 

「ーーーーーんんっーーーーー」

 

なんとも言えないくらい気持ちよくて、焦らされているような感じがたまらなくて、宇宙は水中で何度もイキそうになってしまった。

 

頭の中がクラクラするほどのディープキスと、密着した肌の感触と擦れる股間の感覚。

 

どれもこれも、宇宙には初めてのものばかりだった。

 

こんなことを二十分も繰り返し続けていると、宇宙の身体からはすっかり力が抜けていた。

 

自分の足で水中に立っていられないくらい、水中で体力を奪われていた。

 

「そろそろ、上がりましょうか?」

 

そう言って、桜井が力の抜けきった宇宙の身体を引き上げる。

 

そして抱き上げて階段を下りると、そのままバスルームへと直行した。

 

広いバスルームには、マットレスのようなものが敷いてあった。

 

そこにグッタリとしている宇宙の裸体を仰向けで寝かせ、桜井はチュッと唇にキスをした。

 

宇宙が愛おしくてたまらない、そんなキスだった。

 

「桜井さん?」

 

「遼一でいいと言ったでしょう?」

 

優しく笑って、桜井が言う。

 

だが宇宙は、遼一と呼んでしまうのがもったいなく思えた。

 

もっと関係が深くなって、互いに愛し合うようになったら、そのときは迷わず遼一と呼びたい。

 

だけど今は桜井さんでも十分だと思っていた。

 

こうして二人きりでホテルに入って、キスをされて・・・・・。

 

桜井さんの時間を独り占めできるこの幸せは、例えようもなかった。

 

今はそれだけでいい。

 

そうじゃないと、一度に何もかも独り占めしてしまったら、もったいない。

 

幸せすぎて、桜井さんを失ってしまいそうで、怖いのだ。

 

「今はまだ、桜井さんでいいんです。今はまだ・・・・・」

 

宇宙の控えめな言葉に、桜井は優しく微笑んだ。

 

そして備え付けのボディソープを手の中にたっぷりと垂らし、泡立ていく。

 

泡立てたソープは、そのまま宇宙の身体の上に落としていく。

 

「・・・桜井さん?」

 

「大丈夫ですよ。心配しないでそのままじっとしててください。言ったでしょう?宇宙が嫌がることは何もしませんって」

 

「・・・はい」

 

宇宙はすぐに素直に返事をして、ヌルンっとした泡の感触に神経を集中させる。